全世代型社会保障に期待する    2019.11.3

 

 安倍総理のリードで「全世代型社会保障への改革」が動き出した。

 

大いに期待したい。

 

ただ、今回の設定は消費税の引き上げの説明に合わせて提示されてきただけに、何か引き上げ財源の配分論に留まっているように受け取られていないだろうか。

 

そして、今のところ「全世代型社会保障」の視点に立つ政策としては

 

イ 幼児教育の無償化、教育機会均等化のための支援

 

ロ 高齢者の就業促進と年金支給との関連の変革

 

などになっている。

 

  ハ また、厚生年金の適用の拡大について、就業時間数の制限の撤廃、正      規、非正規の区別の廃止なども視野に入れて検討がなされているようで大いに期待したい。これも次世代以降も見据えた好策を期待したい。

 

元々、社会保障の仕組みはもちろん、国の財政そのものも世代間のつながりを十分踏まえた視点を持たなければなるまい。特に、人生100年時代ならなおさら、全世代型社会保障と銘打つならば、現世代に止まらず、次世代、次々世代へ影響、相互の収支などを見据えて将来を展望しなければなるまい。

 

世代の区切りをどうするか。今のところ「定型」はないが、

 

  ・現世代  18歳~100歳(それ以上の生存者を含む)

 

  ・次世代  0歳~17歳及びそれに続く80年間の出生者

 

  ・次々世代 100年後以降の100年間の出生者

 

と見ることではどうか。

 

そのうえで、全世代型社会保障と銘打つ以上、現世代だけに止まることなく、次世代、次々世代まで展望する視点を持って考えなければなるまい。

 

そこで次の2点を提案したい。

 

 提案第一 巨額長期債務返済策の設定

 

  社会保障は世代間の連帯を前提にするものである。そうであれば現世代(以前世代を含む)までの長期債務(相当部分が現世代の社会保障給付に充てられてきたといわれる)は返済しなければなるまい。1000兆円を超える債務はまさに山よりも大きい。超長期を要しようが、たとえ100年かかろうとも返済策を設定しよう。毎年10兆円返済で100年だ。笑い話ではない。まだその緒にもついていないのです。ここはなんとしても挑戦せずばなるまい。

 

いずれにしても、現世代内の配分だけの陥穽に落ちることなく、負債の先送りを止めなければ「全世代型の社会保障」の看板にもとる。

 

 

 

 提案第二 次世代育成策の実現

 

  出生数100万人台の実現

 

今の年間出生数は90万人にとどまっている。このまま低位出生が続くなら我が国の未来はどうなるのか? 150万人出生があったればこその高度成長でなかったのか。

 

次世代が出生し成長する条件を作ること、すなわち「次世代育成策」はすぐれて今日的優先課題と考えます。

 

幸い、「希望特殊出生率」1.8の実現がうたわれています。そうなれば110万余の数字になるようです。100万台の実現と出生数の増加をめざし、そのための奨励策をとってほしい。

 

まず一つ

 

出生届けがあったら「新市(町村)民証」を出しましょう。できれば市(町村)長さんが自宅を訪問して歓迎の意をお伝え頂いたらどうでしょう。

 

(ある元市長さんに「長寿祝訪問は公式にするのに、出生祝い訪問がないのはなぜでしょう」と聞いたら「選挙権の有る無しですよ」との答えでした。言い知れぬ寂しさを、感じました。

 

市・町・村長さんの未来のための奮起を期待します。)

 

   二つ目

 

   健康保険の分娩費の支給に加え出生児宛の出生祝い金を給付する。出生児の皆保険への参加です。

 

 

 

提案第二

 

  女性労働環境の徹底改善

 

我が国で、女性が働き続け、子供を産み育てる環境は十全なのでしょうか。我が国よりも出生率が高い類似国と比べてどうでしょうか。

 

M字カーブの存在など、我が国は女性の労働参加の条件は良くないと聞かされてきたのですがどうなのでしょうか。是非識者の教えを乞いたい。

 

 社会保険での具体的な提案として、厚生年金被保険者で0-6歳の子を養育する女性の厚生年金保険料を免除することを提案したい。

 

その保険料は他の厚生年金の全被保険者と全事業主が代替する。

 

これで、女性就労促進と出生希望実現と現世代と次世代との連帯の絆の一つになるのではなかろうか。「企業の内部留保の有意の活用」ともなろう。

 

 

 

 

 

更に女子労働環境の整備は次世代育成のかなめである。

 

一般的な政策強化の掛け声に終わることなく、

 

  産業別、規模別の女性就労状況

 

  女性就労実態(正規、非正規別 役員参加率 など)

 

  母性実現のための就労条件設定活用状況

 

  企業保育所の整備利用状況

 

  産業別の推計出生率

 

などを基礎にして、実効性のある将来展望を切り開きたい。

 

     

 

<< 付論 >>

 

 子供の出生について、行政や政治が論ずることは、なにか「タブー」になってるように感じます。結婚のすすめなども触れてはいけないかのように受け取られているようにも思いますがどうなのでしょうか。

 

ただ、動物、生物、の世界で、「世代を繋ぐ」のは生存の前提ではないのでしょうか。人の世界だけ例外なはずはありません。

 

もちろん、結婚するかしないか、子供を産むか産まないかなど、それこそ人の自由であることは当然です。それを拘束することは我が国ではありえません。

 

だけれど、世代を繋ぐ道を閉ざして先の社会も国もないのもまた現実です。

 

個々の意思決定の問題ではなく、社会の有り様としての「次世代育成策」を考えていきたいものと思います。

 

さらに、あえて言いますと、「子育て(親あるいはおとなのそれ)」ではなく、「子育ち」のための条件づくりが必要なのではないでしょうか。「こそだて」と「こそだち」、1字違うだけですが大切な視点が隠れているように思います。子育ちも含めた「次世代育成策」こそ積極的に策定したいものです。