社会保険提案箱

 まず医療保険改革から

 主たる社会保険は、医療、年金、介護である。その中で、年金は将来の見通しが示されている。医療は将来の財政負担が危惧されているが、その対応はことなかれ主義で、傷を深めるばかりであり、第一に改革を要する部門である。介護は医療とともに考察されるものであり、まず、医療保険改革に焦点を定め、改革案を考察し、具体案を提示する。 


 医療保険改革を展望する基本的視点(その1)                                                                                                         2019.5.20

 1 すべての国民が社会保険の加入者になる皆保険体制を維持する。 

 2 現在の保険者構成すなわち 

   健康保険組合(共済組合を含む) 

   全国健康保険協会 

   市町村国保(国民健康保険組合を含む) 

 を継続する

 3 社会保険の趣旨を明確にし、その精神を涵養する。(注1)

 4 医療保険の財源構成は、保険料を主財源とし国庫負担等の税財源を補助財

  源とする。社会保険の自律性を担保するために補助財源割合を一定範囲に

  限定する目標設定が望ましい。(注2)

 5 医療保険の財源構成(保険料、消費税を含む国庫負担、保険者拠出金、利

  用者窓口負担)を明確にし、毎年度国家予算編成に合わせ「医療保険全体

  会計」を明示する。(政府・保険者責任)(注3)

  

医療保険改革を展望する基本的視点(その2)  

問題認識 

   医療保険は保険料を出し合って保険給付を賄う仕組みである。 

 したがって、出した保険料は属する保険集団内で使用されるもの 

 でそれ以外の経費に充てられるために外に持ち出されることはない。(第一の原則) 

  制度発足以来長い間こうした原則に則って運営されてきた。 

  一方、我が国の医療保険は健康保険組合の設立に見られるように、

  同一企業集団や市町村毎の保険集団で編成されたため、保険集団ご

  との財政力の差を国庫補助などで補ってきた。 

   更に、昭和50年代以降急激な人口高齢化の進行の中で、高齢者

  医療について高齢化率の平準化のための財政調整がおこなわれ、今

  日では75歳以降を対象にした後期高齢者医療制度と、65-74

  歳の高齢者医療については、相当部分が既存保険集団からの「拠出

  金」によって賄われる形になっている。公的保険としての社会保険

  集団の協力受任。

 (第二の原則)  注4

  

改革提案その1  同一基準給付の設定

  人の一生は就業と非就業、65歳以前と以降を通じて営まれるのだから、いわば人生100年時代の医療保険は切れ目のない新しい制度がふさわしいのかもしれない。 

 しかし、お題目でどうなるものでない。ここは、現制度を前提にしつつ、何とか将来展望を開く道を提起したい。 

   第一の原則(保険集団ごとの保険料設定)

   第二の原則(医療保険の同一機能の維持・医療給付の一元対応) 

の二つの原則に則り、給付率7割給付プラス高額療養費対応を『同一基準給付』として設定し、その限りにおいて拠出金制度を継続する。

 同一基準給付超える8割給付、9割給付分まで本来自己保険集団

 の経費に充てるものとして徴収された保険料を充当することは許容さ

 れないと考える。高額療養費支給の年齢特例についても同様。

   独自給付となる8割給付。9割給付をどうするか。一定期間の経

 過措置を経て保険給付は取りやめるのがベストであるが、その一部を

 低所得者対応など公費負担として残すことは否定するものではない。

 

注1別途「社会保険の理念と精神」論述のこと

注2財源別割合の現状と推移(思案箱で明示)

注3別途「保険料、国庫負担、消費税、将来債務」全体展望論述のこと 注4拠出金の状況と推移 


 医療保険改革事始め

 第一 国庫補助および消費税との関係を曖昧にせずきっちり整理する

   1. 国庫補助の状況と保険料拠出状況を仔細に掲示する(毎年、億円単位、集計総額) 

  2. 消費税分を何に充てたのか明示 将来増税分を充てるなら時期と額を明示 

  3. 社会保険方式で国庫補助がされている国の状況は? 

  4.  国が予算ですべてきめるようなやり方はどんぶり勘定になっていないか。論理と趣旨をはっきりさせてしっかり一定時間かけて選択すべきだ。国庫補助を一定割合(注1)にして、それが満たされる限り、あとは社会保険の論理で決めるやり方はあり得ないか 

 

第二 薬剤関係給付の抑制

   1. ジェネリック医薬品が出たら本原薬の薬価はジェネリック薬と同価とする(注2) 

   本原薬を使いたいときは患者と担当医の同意で使用可。差価は不問(注3) 

   2.一定額(例1000円)以下の市販薬は保険給付対象から外す。ただし、お薬手帳記載の時は例外。

  3.薬の乱給と無秩序多剤投与の防止のため「お薬手帳」を一人一冊とし、保険証に連動して保険者が交付する。薬剤給付記録の保持(ICチップ) 

  4 薬価基準は毎年実施(薬価調査も)。手間がかかるなら現物給付でなく支払い価の範囲内での償還払いの品目とする。 

 

第三 高額療養費の支給の仕組みの再検討

   1.元々10割給付から基準給付を7割にした時の「家計破壊防止」が趣旨 

  2.細分化、集計単の複数化などにより制度の趣旨と保険給付の性格が不明になっている。 

  3.「過重な負担」の防止とうたわれているが個々人の収入、必要支出まで考慮することは社会保険として妥当なのか。 

  4.社会保険は、あくまでも「一般制度」であり、一般適用される基準(個別視点からは限度)があるからこそ「連帯」が成り立つのでないのか。 

  5.あくまでも個別事情を考慮するなら扶助制度に倣い特別制度を組み立て、財源構成は 

   国庫負担7割、保険負担3割にしたらどうか。(注4 

 

第四 保険者復活

  1.保険者は保険料を徴収し、保険給付を実施する社会保険の唯一の主体である。 

  2.保険者無くして医療保険は死滅する。 

  3.社会保険は保険者ごとに集団を構成しその集団の広義の自治により運営されるものである。 

  4.もちろん社会保険である以上趣旨、目的、諸手続き基準等法律の定めるところに従うものであることは言を俟たない。 

  5.しかし、しかし、現実はどうか。現実的な存在感に乏しく医療保険を動かす際の 

   「名義人」に成り下がっているのではなかろうか、時に名義もなくなっていないか。 

  6.現に中医協のメンバーや支払基金の理事・審査委員は一定割合は「保険者を代表する者」になっているはずだが(注5)どんな方がなられ、どんな議論が戦わされているのだろう。関係審議会メンバーにも保険者の意見を代表できるもの、保険料拠出者、保険給付受給者などの意見を代表できるものを選任するのが常識だろうが現実にはどんな議論がなされているのだろうか。 

  7.溜息が出るが保険者復活を願ってまず確実にできるころを提案する 

   イ 保険者として,保険証を自分で(事業主任せにしない)交付する。 

お薬手帳も同じ。市町村も保険者名(△△市国民健康保険者)で 

   ロ 1年の所得申告に向けて年間保険料(月別)総額、保険給付(種別月別)総額 

     を各被保険者に伝達 

   ハ 被保険者からの相談窓口の開設 各種相談の対応実施(受診相談を含む) 

     年間実績報告 

   ニ かかりつけ医の選定アドバイス 

   ホ 保険者の雄と期待したい健康保険組合についての関係規定、通知があまりにもがんじがらめで超拘束的、 公的保険の悪い面の典型。自主性を尊重し反面自己責任の原則で組み立て直すこと。厚生局の認可の大幅削減。 

   へ 都道府県も保険者の由だが何をするのか。実効性のほとんどない従来の医療計画㋨延長にならないように期待する。保険者協議会はどうなるのか。 

   ト 予防給付 健康づくり促進 生活習慣病対応策とその奨励策 

   チ ドイツ、フランスの保険者と比較して参考にならないか。(注6

  

   (注1) 例 50%、前年同額、高齢者増加率の範囲など

  (注2)新薬開発奨励のため特許期間の延長を考慮

  (注3)ジェネリック医薬品との薬価差の集計を明示のこと(過去20年分)

  (注4)高額療養費の支給状況、趣旨論議の状況

  (注5)規定の詳細、リスト

  (注6)三者構成 、独自保険給付など実情調査 健保連も調査員派遣と聞く